God Bless America
アメリカに住むようになって、ずっと心に引っ掛かっていることがあります
アメリカ合衆国と先住民であるネイティブアメリカンの関係です
特に、何か大きな出来事が起きて、人々が結束し、God Bless Americaという言葉が出るたびに、うすら寒い気持ちで一歩引いてしまう自分がいます
本を読んで知ったのですが、イギリスから新天地を求めて渡ってきた白人が
先住民に対してしてきたことは、耳を塞ぎ、目を背けたくなることの連続でした
偽りの約束を交わして、先住民が暮らしていた恵み豊かな土地を取り上げ、かわりに作物も育たないような痩せた環境の悪い場所に囲い込む
先住民の暮らしの糧だった、バイソン(バッファロー)を絶滅近くまで乱獲することで、先住民が代々続けてきた生活様式を断つ
先住民が飼っていた小型の野生馬も同様に、根絶やしにして、生活や戦いに使えないようにする
最初は友好的だった先住民が、そのような仕打ちに対して、抵抗を始めるにはそれほど時間はかからなかったでしょう
そもそも、暮らしている土地は、先祖から引き継ぎ、次の世代に引き継ぐ、いわば過去、現在、未来と、共有してゆくもので、「土地を所有する」という概念は先住民にはなかったそうです
God Bless America という合言葉や、愛国心溢れる人々の様子を見ると、どうしても気持ちが引いてしまうのは、今現在も、先住民の人たちへの扱いがよくなっているように見えないからです
先日のニュースに「新型コロナに対処するために、ナバホ民族居留地に、国境なき医師団が派遣される」とあって、驚きました
国境なき医師団が行くのは、アフリカや紛争地帯だと思っていたからです
ニュースによると、アリゾナ、ユタ、ニューメキシコの3州にまたがる広大なナバホ民族の居留地には、限られた設備の病院しかなく、しかも、食糧や水を手に入れるのに、車で100マイル(160km)行かないとならない
グーグルマップで調べたら、これは東京から静岡市のちょっと手前までの距離です
この居住区が、今、全米で最も新型コロナの罹患率が高いとのこと
サウスダコタ州では、コロナ感染を防ぐため居留地へ通じる道路を封鎖した(チェックポイントを設けた)居留地に、知事が封鎖解除を強行に要求する事態もありました
さかのぼっては、カナダから原油を運ぶパイプラインの建設に反対する、武器をもたない先住民たちが、武装した一団に強制的に暴力をもって排除される場面が続きました
彼らが反対したのは、パイプラインが彼らに飲み水を供給する川を汚染する可能性が高いからでした
実際に原油を運ぶパイプラインによる原油の流出事故は、めずらしいことではないです
開拓時代のアメリカが先住民に対してしてきた非道の数々を認め、自国民と同じく敬意を持って先住民と共存して初めて
胸を張ってGod Bless Americaと言えるのではないか・・・
とどうしても思ってしまいます
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